お引渡し前の掃除

4月から不動産の仕事を始め、5ヶ月です。
8月に初めてのお申し込みをいただき、先週契約が終わり、そしてお引渡しが明後日と迫りました。
プロの業者さんの掃除は、この建物をお預かりした時に終えているので、
ほうきとちりとりを持って改めて掃除に行ってきました。

その物件は、4月に来た時からお預かりしていたもので、とても魅力的な戸建でした。
引き合いも多く、何度もお客様にご案内しました。そのおかげで、たくさんある物件の中で私が最もよく知り、そして最も愛着を持っている物件でした。

道路から建物を見上げると、秋晴れの真っ青な空の中にその真っ白な建物がくっきりと浮かび上がり、木漏れ日がキラキラ降り注いでいました。
3Fにある特注サイズの大きなはめ込み窓からは、自慢そうに赤い実をつけた木々が、気持ちよさそうに風に吹かれているのが見えました。

何度も足を運んだここにはもう来ることはないんだなと思いながらの掃除は、少し切ない気持ちのするものでした。

ふとウッドデッキに出た時、買主様が頭をよぎりました。
買主様はとてもこの戸建てを気に入ってくださっていて、初めてご覧になったときに購入を即決され、その後も一刻も早くご自分のものにされようと、一生懸命でした。
小学生のお嬢さんも、まだ契約となる前から彼女のお気に入りのおもちゃをどこにどう置こうか決めているとのことでした。
急に私の頭の中で買主様ご家族のにぎやかな別荘ライフが想像され、微笑んでしまいました。

長く愛され、それがライフスタイルの変化によって利用頻度が減ってしまった別荘を、また新たにそれを愛する人にお渡しする。
売主様も、切ないながらも、きっと買主様の情熱に喜んでくださるはずです。
嬉しくなりました。

わだあきこ